「いただきます。」
当牧場では1頭1頭に名前を付けて飼育しています。
今回その命をいただくのは24ヶ月齢の雌牛「ウィッシュ」です。
とても人懐っこく、ふれあい体験では多くの来場者の方々に可愛がってもらい、たくさんの癒しを提供してくれました。
雌なので本来は搾乳牛として活躍してもらいたいところでしたが、遺伝的に体も小さく、乳量が期待できないためお産をしてもらう前にその命を頂く決断をしました。とっても心苦しい決断で、なかなか踏み切れなかったため、結果的に仔牛ではなく24か月齢まで一緒に過ごしました。
牛舎の無い放牧地で完全通年放牧。食べるのは野草を中心とした草のみ(冬季は日に1kgのみビール粕を給与)。
牛本来の健康な食生活を送り、日光をたっぷり浴びて広大な放牧地を駆け回って育ったお肉、もちろんこれをいただく人間にとっても栄養価が高く健康的であることは言うまでもありません。
穀物を多給するグレインフェッドに比べ、牛本来の食性である草で育てるグラスフェッドビーフにはオメガ3脂肪酸や脂肪燃焼を助ける共役リノール酸を多く含むなどの特徴があり、抗酸化作用の高いビタミン類も豊富に含まれることがわかっています。
またグラスフェッドビーフは、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の比率が理想とされる1:2であることから、現代人の偏った栄養バランスを整え、健康的な身体つくりに役立つとされています。
全体的に柔らかく淡泊な味が特徴の仔牛肉とは違い、しっかりとした歯ごたえがあり口の中で長く肉本来の味わいが感じられます。
「これが本来の肉の味かあ」と納得して頂けると思います。
できれば濃いタレを付けることなく、シンプルな味付けで召し上がって頂きたいです。
柔らかいものが多い現代の食の中で、グラスフェッドビーフはしっかりと顎を使って食べるので顎の発育にも良く、子供であれば歯並びが良くなるとされ、唾液が十分に分泌されることで消化吸収を助け、虫歯の予防にもなります。他にも満腹中枢を刺激して食べ過ぎを抑える効果や、脳の活性化になり認知症の予防になるなど、その味わいだけでなく良いことがたくさんあると言われています。
INAHO FARMでは、酪農家でありながらこうしたお肉の販売も行っていきます。
人間がミルクを頂き生活をしていくために母牛には毎年出産をしてもらわねばなりません。
それゆえ広大な放牧地とはいえ、定期的に牛の頭数を調整していかなければならないのです。
ただ、放牧地の広さなどの問題で全頭を大きくなるまで長く飼育することはできず、また仮にセリなどで販売したとしても、どこか知らない場所で、例えば放牧されず十分な運動ができない環境で、穀物飼料を多給されて生涯を終えることになるというのはなかなか受け入れ難いのです。最期までINAHO FARMでのびのびと健康で幸せに生きてもらいたいと思い、このような形でお肉として最後は自らの手で販売しております。
家畜を飼う以上、どこまでいっても人間の都合で扱うことから離れることはできませんが、ここで産まれた命は、屠殺の瞬間こそほかの人の手をお借りしますが、最期まで責任を持ってここで健康で元気に、幸せに生かしてあげたいという思いがあります。
INAHO FARMでは、牛を健康に飼うことを大切にしています。
だから、通年放牧、できる限りグラスフェッドにこだわっています。
つまり、体の大きさや脂の乗りなど「市場」で価値あるものと現代されているものにとらわれない飼い方です。
高く売ることだけ考えれば、そういった牛を育てることもできはします。
ただ、それで牛は、それを口にする人は、健康に生きられるのだろうか。
その畜産の在り方は、数十年先にも産業として続いていく形だろうか。
求められるものであり続けるだろうか。
そんなことを考え、いわゆる「相場」のないグラスフェッドビーフを自らの手で販売しています。
伝えたい思い、知ってもらいたい味があります。
【賞味期限】2025/2 (美味しく召し上がっていただける目安です)
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